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zoom RSS それぞれの『お吉物語2』 -「元」座長/関東の女形役者・見城たかし篇-

<<   作成日時 : 2011/02/03 18:59   >>

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画像舞台にお金が舞う。
ほんまもんのお金じゃない。
紙で出来た、小道具のお金が大衆演劇の舞台に舞う。
大衆演劇のお芝居のラストシーンで舞う。
「あたしはこんなお金なんか欲しくないんだよぉ…!」
大衆演劇のお芝居の舞台で万感の思いでヒロインが、
いや、ヒロインに象徴される“皆”が投げたあのお金。
ベタな演出ですね。ベタを通り越して陳腐な演出かもしれません。
でも、もしかしたら、ベタだからこそ陳腐だからこそ、
私は「うわぁっ」となったのかもしれません。
ゾクッとしたのかもしれません。
投げたのは、作中のヒロイン。
でも、ほんとにヒロイン?だから私は「うわっ」となりました。

思わず…そっから(いえ、正確に言うとその数分だけ前からですが)
ぐわっときて…涙してしまいました。
(いえ泣いてません…ってそういうのもういいか。笑)

お吉…そう、『唐人お吉』、『お吉物語』完結編。

このお芝居を今の座長に立てたのは、昔…昔という言葉はよくないですね、20年ほど前にお吉を演じていた元座長。

20年ほど前…
日本がイケイケだった時代、素敵にアホでぱっぱらぱぁで、きっと素敵に楽しかっただろう時代。
に、素敵に華やかに、誰よりも最もイケイケだったであろう、そりゃあイケイケだろう、
だって、イケイケであるくらいの力がある、いや、あったであろう若い座長。

そんな当時の若い座長、今は元座長は、
でも、今もまだ舞台に立っていて、
今はもう座長じゃないけど、
今の若い若い座長を支えて、今の若い若い座長のために、
彼をイケイケに、絶対に、もっと、最もイケイケにしてやると生き甲斐(?!)を持って、
でも、自分もその抑えていても出しきってなくても
漏れて滲むナニカを放ちながら舞台に立ってる(と、初めて観たときから私は感じてもたの。笑)1役者。

そんな彼からそんな彼へ、「お吉」はその日その瞬間、時代世代を越えて、確かにバトン・タッチ。

…ってな話は、前の記事にも熱苦しく長ったらしく(苦笑)書きましたけれど。

私、その若い、若い若い今の座長がとてもとても好きです。

そして、でも、気付けば、
その若い、若い若い座長の隣…隣はちょっとちゃうな、
後ろの方(笑)にいる昔若かった、その元座長が、
同じく前から後ろの方にいた昔若かったその劇団の元座長(座長父)と合わせて、
いや、むしろ、いつからか、あら、どうしよう(笑)、その方よりもとてもとても好きです。

「お吉」は、彼にとっても、そしてまたまた彼にとってもとても特別な芝居だっただろうし、
この瞬間、今とても特別な芝居となったんじゃないかなぁ、と思うのです。

特に、歳くってる方…かつて関東の地で「女形」で一世を風靡していたらしい元お吉。

そんな「元」の時代は、
きっと今じゃ考えられないくらい、舞台の上にほんまのお金が舞っていた時代だったろう、
そんなんときにお吉だった…そして、今は今を生きているお吉。

って勝手に思いながら(笑)観ていた私には、
そのラストシーンは、びっくりするくらい、はっと、そして、美しく見えたのです。

儚く。あ、儚いって言葉、意味は好きやけど簡単に使うのん嫌い。けれど、儚く。

強く。うん、強く。弱くも強く。ほんまにうつくしく。

そんな風に感じたのは、
私が、そんな彼が今この劇団で演じている、
矜持を持った国定忠治(ご自分の劇団では日光の円蔵だったそうですけどね)が好きだからでしょうか。

落ちた姿に出会った元親友で元子分から投げ銭をされ、
思わず、その金をとって投げ捨て!…ることが出来なかった、投げ捨てはしなかった、
「生きている」忠治に私が男惚れ(女惚れではなく、うん、なくね。笑)してしまったからでしょうか。

そんな忠治の“ナカミ”を、今の彼ではなく、昔の彼を今私の目の前で継いだ若いお吉に、ふと、見たからでしょうか。

旅する鴉、芸に生きる鴉。生きること。芸で生きること、生活すること。
きれいごとじゃない、でも舞台というきれいごと。ケな生活とハレな舞台。

を、何年?何十年?毎日。

そしてその何十年は今、若い若い彼に「お吉」というカタチで確かに継がれて。

生きてきた、守ってきた、持ってきたそれは彼が確実にこのお芝居というカタチにして。

そしてお吉が今、投げ、舞台を舞った紙。紙っきれ。

それはお吉を今こんな目合わせた憎いヤツが、
「すまなかった、すまなかった」って何度も言いながら、
でも、「生きてくれ」って、こっちも、もうちぎれそうな思いで置いていった価値ある紙っきれでさ。

それがなきゃあ人は生きてはいけないんだけれどさ。

でもお吉は、投げて。ぱぁっと、散って。…うつくしくて。

(ま、結局、その後、自らの身をも投げてしまうのですけれどもさ)

でも、その、ぱぁっと散る、紙、そう、紙だよ、いや紙なんて言っちゃいけないね、

ましてや今の私なぞなんかは一番言う権利ねぇくらいだけど(泣笑)、

うん、でも私だけじゃないよね、皆だよね(つまり粗末に出来んってこった。笑)でも言っちゃうよ、

「紙」が、

ぱぁっと、散るその「絵」は、

うわぁ…

ベタで、陳腐で、

愚かで、なさけなくて、

歯がゆくて、

悔しくて、面倒くさくて、でも誰しも欲しくて、でもいらなくて、

禍々しくて、

どうしようもなくて、とんでもなくて、

とても、きれいだった。

いろぉーんなものが、舞って、

きっと私には、私もわかったフリしてちっともわかってないかも、

けど、それくらいいろぉーんなものが舞って、散ったような気がして(な、ように見えて)、

キレイだったのです。

一瞬。

一瞬だけれども。

(&そこは正確に言ったら一番の見せ場ではなく、身を投げるところが最大の見せ場なのだろうけど。笑)

でもだから私には。

私には、その前からの一連のシーンが、あいまって「うわぁっ」と、きたのです。

そしてそんなお吉は、

そんなお吉だからこそ…鶴(松)さんに会えるんだよねぇ、会えたんだよねぇ?

だってあのラストのラストシーン。

見城演出(あ。笑)、「見城」が立て、「大介」がお吉を主演したラストシーンのラスト。あのラストのラスト。

それでも生きてる。それでも生きてく。死んでも生きてく。あ、意味わからん。でも、生きてく、伝わってく。続いてく。

お金じゃない。お金じゃないよね。お金だけど。でもお金じゃないよね皆。人間(ひと)って。

ぱっと咲いて、ぱっと散って。ぱっと咲き散る瞬間芸の世界で、伝え、伝えられ、生き、生かされ。

たくましく、でも、しなやかに。

もうあんな時代はこないよねぇ? 
けれど、こなくても、別に、悲しいことじゃないよね? いや、そりゃ、きたほうがおもろいやろうけれどさ。

たくさんの、たくさんたくさんの気持ちが詰まり、紙っきれと共に舞い、散った、「大衆演劇」の、「今」の、「お吉」。

今のお吉も、そして観てはいないけれどきっと当時のお吉も、とてもキレイで、格好良い。

そして今、

舞台に立って、ニヤリとしながらも柔らかな(え?)笑顔を見せながら

ご自分のペース(?!)で唄に、芝居に、踊りに、

若いコと、そしてご自分のプライドをばりっと光らせながら、続け、伝え、立っている“お吉”はとても格好いい。

「生きてて良かったね」

…って、ホンマに言うてまいました。

終演後送り出し、ガキみたいにバシッと、うっかり(うん、うっかり)飛びついてしもてから。笑

てか、うわぁ、ワシ、なにしてんだ。最低。

でも、あれも、一瞬。一瞬のことですよね。うん、ぱぁっと。って、うわぁ、大変失礼なことをスミマセン。笑

私、「今」の、あなたに、とても興味です。とても、好きです。

ちっと前(だいぶ前?)からちょいちょい自覚してましたが、うん、ホントですよ。

って、私も伝えたくって。なんちゃって。キャー。笑

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