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zoom RSS 水上勉原作「飢餓海峡」より、見城たかしの「飢餓海峡」-漕いで漕いで-

<<   作成日時 : 2011/05/08 05:51   >>

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画像「ちり紙に包んだ足の爪」
…うわ、包んでる。
大事に大事に持ってはるわこの女(ひと)。
「頬っぺにチクチク刺してみる」
…おお、刺してる。
でも露骨に刺したりなんてしないのねこの女(ひと)。
大事に持って。想い溢れて。
だから、開いてチクッ。んでも、すぐに仕舞っちゃう。
いっぺんだけ“逢う”た相手を想い…「連れてって」?
でも大声で叫んだりなんてしないのねこの女(ひと)。
秘めているのに溢れてもうて、せやから左手は口の横。
静かに言うていたのよ「連れてってぇ…」!…ええ女やなぁ。

その『飢餓海峡』は、ギター1本。

イントロからジャジャジャジャァーーン!うっさいねん!
な、あのオーケストラの音もあらへん。

「イぃ〜タコさま」とか「犬飼さんだ!」なんてセンセイショナルな台詞も入ってへん。

(※ワシあれあんまし好きやない。ま、企画としてはとても面白いですけどね。笑)

ギター1本、アコースティックバージョン。

それはお腹いっぱいじゃない、お腹いっぱいになれない「飢餓海峡」?

いいえ、それは「ことば」(歌詞)をあらわす「飢餓海峡」。

エロく(させられ)ない(あ、はっきり書いちゃった)から物足りない「飢餓海峡」?

いいえ、要らないモノのない、余計な気持ちのない(?!)「飢餓海峡」。

余計なものは一切削いで、ことばから気持ちを見せる「飢餓海峡」。

それ、物足りないほど寂しい「飢餓海峡」?

いいえ、それは「私(俺)」をみせる「飢餓海峡」。

その舞台に居たのは「女」でした。

ほんまもんの「女」。

控え目な、自分を殺す、せやけど情の濃い、女。

杉戸八重。ううん、杉戸八重以上に杉戸八重。

孤独な、ちゃうわ、孤高な、弱いねやけど強い女でした。

ウソ。

真っ白に塗った歳とったオッサンでした。

すげぇきれいに踊るオッサンでした。

孤独な、ちゃうわ、孤高な、弱いねやけど強い、めっちゃ「役者」でした。

控え目やない、自分自分な、せやけどそのプライド故に「芸」で「女」を見せてくれる、大衆演劇の役者。

そんな大衆演劇の世界に舞台でかつて一時代を築き「城」を「見」ていたほど騒がれていたという役者。

その化粧、その所作ゆえほんまに女に見える(今も!)役者。

漕いでました。必死に漕いでました。きれいな所作。でも所作やけど必死で生きてました。

ちゃんとめっちゃ、めっちゃ漕いでるその姿がなんだか可笑しく、笑ってもうたのは最悪失礼。

いや、あの、ちゃんと、めっちゃ歌詞大事にしてはんねやなぁって「うわぁ」ってなったから笑ったの。

腐りかけ、あ、失礼、腐って、あ、嘘めっちゃ失礼、でも、漕いで漕いで生きて生きているように見えました。

黄色い帯揚げを、解いてギリリと噛んだりもしてましたよ。あれも所作?

ちゃうで。せやろけど、ちゃうでと思うで(思ったで)。

漕いで漕いで、秘めてるのに溢れ漏れてもうて、で、うわぁっと、ギリリ。

刺したり、噛んだり、あーぁ、女って怖い、役者って怖い。ワシには少々、刺激が強い。笑

女は帯揚げを噛み、何かを堪えているように見えました。

想いを?犬飼さんへの溢れんばかりの想いを?

うん。そして、たぶん「生」を、ゲンジツを。

漕いでも漕いでも、若いかつての時代、かつての場所へ戻る道ない飢餓海峡。

何年も何十年も漕いで漕いで今ここに流れてきて、歳くって、ちいさぁなって、
でも今も毎日漕ぎ続け、真っ白く綺麗に(ん?)化粧をし、毎日毎日毎日立って。

今は今の岸がある。

けれど超ぴっちぴち超イッケイケ超モッテモテ(知らんけど。笑)だったそんな岸には、戻る道ない飢餓海峡。

でもね。

これはたぶん、若い頃、顔のきれいな、ぴっちぴちイッケイケの頃には出来なかった飢餓海峡じゃあないか。

どちらがいい、どちらが優れているかとかはないと思う。あ、でも、はっきり言うたら昔なのかな。

でも、今のこの飢餓海峡はきっと、カタチや所作だけではない飢餓海峡。きっと、今の、今だからの飢餓海峡。

だから、それは目に見えるものとしては決して綺麗じゃないかもしれないけれど、
けれど、これは“ほんまに”綺麗な、きっとホンマの飢餓海峡だと、私は思ったのですよ。

ちょっと言い過ぎか。言い過ぎね。笑

せやね、
だって若い頃だって、若いからこその“飢餓”ってのも、いっぱいあるんですもの、あるんですよ、ねぇ、あーぁ。笑。

きっとあれが年増のオゾケ、じゃなかった(笑)、イロケってヤツなのでしょう。

うん、そう、きっと、色気で色香。あれぞいわゆる「姥桜」。(前記事参照。笑)

以前観た“夢千代さん”(コチラ)と同じ衣裳だと気付きましたが(ワシはオタクか。笑)、
でも一瞬、女のように身をよじったとき、
その着物の柄、一瞬だけ波に見えたような気がして、その「海」にゾクリとしました。

「くらやみのこの夜の「海」をのぞいたら朝もくらやみ昼もくらやみ」

でもね、
信じて信じて夢を見て、嘘も誠もないまぜの世界で生きて、生き続けてたらきっと星はみえるよ、ねぇ飢餓海峡。

ああ、ええ女やなぁ。

もしかしたら、ワルいオッサンかもしれないけれど。(知らん。でもこれ褒め言葉!笑)

「連れてって」くれなくても着いてこ。これ、もしかして逆「飢餓海峡」?うん、これ、めっちゃ「飢餓海峡」。

私、八重? 八重桜?

…やっぱ観てみたかったなぁ、若いからこその「飢餓海峡」。

若い頃…そんな今のあなたに興味を持ったからこそ、若いからこその“飢餓”海峡。

腹立つくらいイキってただろうでも飢餓海峡。

いや、んなことない。

ないったら、ないよ。そんな私は飢餓海峡?ねぇ、見城さん。

人違いじゃない、あなたは今も昔も「見城たかし」さん、「見城たかし」さんです。

ああ、見城さんだ見城さんだァ!笑

(最後は津軽弁っぽく読んでね。あはは。笑)

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これには文句ない、よぉ出来てると思うが、これを使った踊りでええのは正直観たことありません。
原曲オーケストラバージョンの使ってるのも、ええなと思うものには出会ったことない。せやなぁ。こんだけ曲だけで完成されてたら、ねぇ。

すごく面白い1曲、数分でした、あっぱれ、“タヌキガカイキョー”。
毒っ気、いえいえ、色香にアテられ、帰って数日ふらふらになりました。(半分ホント、半分嘘。笑)
観たの先月末なのに、観たときはニタッとしたのに、帰ってから、まぁぁ後引く、後引く、姥桜。笑

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
とても美しくて、とても残酷な文章だと思いました。

“姥桜”という文字が、単純に胸に痛い年だから尚更でしょうか(笑)

東京で適当に観劇している身で、残念ながら、見城たかしさんは拝見したことはありませんが
こんな風に美しく残酷な賛辞に、どんな感想をお持ちになったのかに、興味を持ってしまいました(笑)


見城さんも訳ありなのでしょうか?
でも、犬飼さんと違って、見城さんは、昔も今も見城さんなのだから、名前を連呼しても、喜ばれこそすれ
思わず・・・
なんてことにはならないでしょうから、安心ですね(笑)


結果的には、女の一途な想いが、共の破滅を招くわけで…
思わぬ落とし穴…怖いですね、女の一念(笑)

それを見事に表現した役者さんですか…観てみたいです。

長々お邪魔致しましたm(__)m


ルイコ
2011/05/28 11:27
手厳しく、でも、あたたかく(?!)、
本当に嬉しいコメントにグサリ!
本当に本当に嬉しく拝読いたしました。

美しく残酷な賛辞。
ううん、どうとらえていいのか。
感想は…さぁ、それはご本人様の中の「海」に問うしか…。笑

『飢餓海峡』は、
演歌の方はちょっとセンセーショナル感も否めませんが、
水上勉の小説の方は、
それこそ、本当に、美しく、残酷な
≪人間≫というものを描いた小説だと思いました。
読んでしばらく、立ち直れない程の感銘を受けました。
映画も大好きな左幸子と三国連太郎の演技に打ちのめされました。

そして…
その後、何の縁か、
それとも私の日ごろの行いの良さか(それはない)、
観ることの出来た、「見城たかし」さんの飢餓海峡は、
それこそ、それこそ、
いい意味ではなく若く幼い、“バカい”私には、
きっと、たぶん受け取ることの出来ないだろうくらいの
何かを感じました。

正直、悔しいです。
観る力のまだまだ足りないこと。
伝える力のまだまだ足りないこと。
幼いこと。なのに生意気なこと。己の未熟さ若さ。

でもそんな私がそれでも何かを伝えたくて、
怖がりながら、でも、同じくプロとして、
逃げず、向き合い書いたこれが、
少なくともルイコさんお一人にでも、何か伝わっていたのかな、
と、そう思うと、ちょっとは、喜んで、いいのかな。

ご本人には…ううん、さて、何か、何が、どう、伝わっているかな。笑

私は性別上は女ですが、ナカミがオッサンですので、
そして残念ながらコンジョワルで一途ではないもので、
落とし穴にはきっとはまらず。笑

立派な水上勉に、立派な桜守になるべく、
日々、精進を重ねたいと思います。見守ってね。

そして、この凄い、面白い、素敵な役者さん。観る機会があれば、是非。
桃♪⇒ルイコ様
2011/05/30 17:47

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