桃花舞台

アクセスカウンタ

zoom RSS 父と子、兄ぃと牙次郎〜ある『上州土産百両首』〜【その@】

<<   作成日時 : 2015/03/05 22:44   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

実はワシ、
その芝居はいろんな意味で
今のその劇団の「一番いい芝居」になれるんやないかと思っていました。
九州の名門を飛び出し座を立て
「自分の芝居」を追求し続ける父(前座長・現会長)。
その隣で父の強烈な存在感と戦いながら
新しいカラーを模索し座を率いる息子(二代目座長)。
二人の演技とはその芝居―
『上州土産百両首』の「兄ぃ」佐次郎(正太郎)と「弟分」牙次郎にぴたりと合う。
どちらもがプライドを持って培ってきたものが
どちらの役も欠かせないこの芝居のどちらにも合い、
どちらもの魅力が活き、
どちらもが刺激し合えてストーリーが進む。
そんなこの芝居は「気」と、時と、場所と、お客さんと…
全てが奇跡のように合った時、最高に近い物が観られるのではないか―と

紅あきら(紅劇団・前座長/同魂会・会長)と紅大介(紅劇団・二代目座長)。
舞台を観ていてその「心の関係」みたいなものに気付きだしたのはいつからか。
互いに対する意識のようなものに触れ出したのはいつからか。

最初からか。

うん、最初からです。

正直ワシならあんなお父ちゃん嫌や。
自分が役者なら絶対近くに居て欲しくない。あんなん横おられたら勝つ自信無い。
名門大川を飛び出して自らのカラーで一時代築き上げ
そのカラーをひとつのブランドにまでした反骨と個性の大役者。
ヤマアゲを否定しとことん役に入り込みリアリティある静かな芝居を追求する反骨の名優。
最高にたまらん、ほんまに格好いい・・・客席で見ている分には。
更にもし自分が今皆を束ねていく座長というポジションにあり、
その中にあの存在があったとしたら、絶対嫌や。
絶対しんどい、面倒臭い、どない扱ったらええかわからへん。絶対他人の言うこと聞けへん。
そらせや、それだけのプライト持ってええ位の道を歩いてきておられるのだもの。
でもほんま嫌や。ああ、しみじみ、同業者やなくて良かった(笑)

してみると紅大介の強さは!どや!

切りたくても切ることの出来ない血の縁で結ばれながら
役者として父とは違うカラーやジャンル(芝居もショーも)を見つけ、
毎日刺激し合う同士として同じ位(は言い過ぎ?でも同じ位やとワシは思う)の存在感を見せている。
現座長としてこれまでの劇団の色を変えるべく奮闘しながら座員を束ねている。

それは本当の意味での「強さ」「芸の力」=人としての「力」というもんやないやろか。

と、いうことにほんまに気付きだしたのは・・・

「居なくなってから」やないやろか。
もっと言うと「居なくなって帰ってきてから」やないやろか。

そうだったのはワシだけじゃなく結構多いんじゃないやろか。

中でも一番気付いたのは父である紅あきらやないかと思います。

昨年9月、1年3か月の間劇団を離れた紅大介が復帰した初日の舞台、
特に凄い派手な事をした訳でなく仰々しく大層な口上挨拶があった訳でもなく、
ミニショーの幕が開いて2本目で個人舞踊で出てきた紅大介。
その特別じゃないところがすごく良くて、
皆びっくりしながらもスッと受け入れて
舞台上も客席も実はこっそりホロッと嬉し泣きしていた…
そんな初日のミニショーのラストで踊った父、息子、妹婿の『虎』、良かった。
《人生所詮は夢、人間最期が華》
《勝つ為生まれてきたのなら若さ振り絞り今日からお前は虎になれ》
虎の親は崖から子虎を突き落とし、子虎はよじ登ってきたんかな。
うん、きっとそう、よじ登ってのこの日なんかもしれないな。
二人が踊った後に花道から出てきた紅あきらはいつもながら渋く格好良い表情(かお)。
でもそこに滲むいろんな想いがあるように見えました。
ホントは嬉しいけれど役者として会長としてわざと難しそうな表情(かお)。
役者としての表情(かお)を作ってるようにワシには見えました。
本当にいい表情(かお)でした。
その夜、紅あきらは御機嫌でした。
その夜とそして復帰後に何度もこう話すのをワシは聞きました。
「こんなに成長して帰ってくるとは思わなかった」「あいつと芝居するのが一番楽しい」
反骨の紅あきら、鬼の紅あきらも、ああ、親やなぁ、おお?おいおい、ええ?ええの?えええ!…ああ、ええなぁ。

画像


そんな復帰から5か月間続いた関西公演、
二人を中心としたこの劇団でワシは沢山の芝居を観ました。
あきらの格好良さが光る芝居も観ました、
大介の魅力が光る芝居も観ました、色々観ました。
そんな中でも特に印象深かったのが『上州土産百両首』です。
どこの劇団でも舞台にかけられ、この劇団でも何度も目にしているこの演目だったんです。
中でも最もグッときて「一番の中の一番」と思ったのが、
5ヶ月間続いた関西公演の最後の日曜日に上演されたこの芝居でした。
スリから足抜けして堅気となり「三年後に会おう」と約束を交わした
二枚目の兄ぃ・佐次郎と三枚目の弟分・牙次郎、二人の男。
を、この父とこの息子がその日演じたこの芝居。
それはまるで神様からのこれまでとこれからへの「土産(プレゼント)」のように見えました。
毎日ストイックに芝居と舞台と自分に向き合う大衆演劇の役者さん、
その中のひとつの劇団と役者さんと皆への「土産(プレゼント)」に見えました。
毎月毎日芝居をして生きていってる役者さん達にとってはただの1日、流れていった芝居と日だろうと思います。
でもワシにとってはたぶんこれからも忘れられない一日と芝居で、
軌跡からの奇跡、なんて書くとなんだかキザですが、そんな、ような。
皆はいい表情(かお)をしていました。
紅あきら、紅大介、座員さん、お客さん、皆、本当にいい表情(かお)をしていました。
いい芝居でした。




■omake■
この記事内容に際して…過去記事、少し。
【滲む想い -≪大衆演劇≫、「人生=舞台」という事-】 2013/10/11
【立ち続けると云う事、戦い続けると云う事-“紅センセー”の『ろくなもんじゃねえ』から-】2014/07/18

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
いい芝居とは〜My Dear, 大衆演劇、役者さんとお客さん〜【はじめに】
大衆演劇にとっていい芝居とは何だろう。 今の時代の大衆演劇にとっていい芝居とは何だろう。 今の時代の大衆演劇において芝居の意味とは何だろう。 小さい頃からキチガイのように芝居が好きなワシがいつも考えさせられるテーマです。 公私共にこの世界を追うワシが常に考え、 これからも考え続けながら観、追う、大きなテーマです。 いい芝居とは? 大衆演劇のいい芝居とは? 全ての大衆演劇ファンの皆様。少しお付き合い下さい。 (久しぶりの更新だから長いぞ!気合の長さだぞ!そして今日から4回シリ... ...続きを見る
桃花舞台
2015/03/05 23:18
優しさ弱さ、生きてく強さ、その人だからこその伊三郎〜ある『上州土産百両首』〜【そのB】〜
さて、そんなその日その劇団の『上州土産百両首』について イントロ代わりの【はじめに】から@、Aと続けてきましたが、 シリーズを終える前に、最後にどうしても書いておきたいことと人が居ます。 いや、書いておきたいではなく、書いておかなければならない、欠かせない。 それはスリだった頃の牙次郎と佐次郎の兄貴分である蝮の伊三郎。  その伊三郎を演じる見城たかし(紅劇団・後見)。 見城たかしの伊三郎。 この役抜きにこの劇団のこの芝居は語れない。 この人抜きにこの劇団のこの芝居は成り立た... ...続きを見る
桃花舞台
2015/03/06 11:06

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
父と子、兄ぃと牙次郎〜ある『上州土産百両首』〜【その@】 桃花舞台/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる