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zoom RSS 桃的『吉良の仁吉』考・そのA〜優しくなれなければ生きている資格がない〜

<<   作成日時 : 2015/05/03 23:17   >>

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若い仁吉は声を絞り出すように言いました。
「俺はやくざになりたくてなった。けれど長吉は違う。
長吉の気持ちを考えたら…先生 長吉の気持ちを考えてやってくれ」
クライマックス、荒神山に向かう途中(ん?途中?それとももう着いてんのか?)
義理をとって離縁したお菊の最期を看取った安濃徳の食客、
浪人の角井に「なぜお菊さんを離縁した!」と言われた時、
なんの格好も付けず、心から、本気で。
なんて人間臭い、いや、人間らしい仁吉なんだろう。
響いた。グッときた。そして気付いた。気付かされた。
―格好いいんじゃない。優しいんだ。この人は、≪人間≫なんだ。

前記事でひたすら語ったとおり、私は仁吉が好きになれませんでした。
というより理解できなかった、カッコイイと思えなかった。
そんな私が地方のセンターであたってしまった、仁吉。
「明日、芝居なんですか?」「仁吉」「えー…」って言いながら観た、仁吉。
うーん、やっぱ、よぉわからん、好きやない、と思いながら…
そんな時、そこで、若い座長がそう言った。だから気付きました。やっと(?)気付きました。

―カッコつけて義理を取ったんじゃないんだ、仁吉は。

仁吉は、仁吉という田舎やけど大きな一家やないけれど親分は。
人の気持ちがわかるからこそ、
人の心の痛みが自分のこととしてわかるからこそ、
離縁をしてまで山に向かった、
人の分、長吉とお菊と自分と皆の分の心の痛みを自分の痛みにして、痛みに耐えながら。
格好をつけているんじゃない。格好つけてそうしたのではない。
そうせざるをえなかった、いや、心からそうしたのだと。

教えてくれました、格好いい仁吉じゃなく、やさしい、等身大の仁吉が。

飾らず気取らず、良くも悪くも、飾らず気取らず、まっすぐ、そのままの若い座長。
この1年ちょっと前から今にかけてたぶん色んな訳もあって、
今、役者としてとても大きくなった彼の演じる仁吉。
いや、そんなバックグラウンドはさておいても彼の演じる仁吉は
彼が演じたからこそ、私には≪ひとりの人間≫、そして、ちゃんと、≪ひとりの若者≫に見えたのです。

グッときた。きてしまった。不覚にも。

こんな風に仁吉を演じたこの若い座長は、きっと、自らも本当に、優しく、強い人。
いや、いろんなことを体験して、今、体験して、「今」、優しく、強くなって、
今の自分だからこその仁吉を見せている。
そんなこの子(子ぉ言うてすみません)を、私は座長なりたての頃から観ている。
劇団ファンさんや劇団おっかけ熱心なファンさんからしたら私は中途半端でそんなこと言う資格あれへんし、
てかこの子のファンや(とは思われて)ないやろう。
「(同じ劇団でも)あの人もこの人も好き」とかは通用せん世界やし、
あろうことか「(大衆演劇が好きだとかそれを仕事やライフワークにしているとは言え)
この劇団が好き、でもいろいろ観る、公平、皆好き」なんて理解されへん世界なんもわかっている。
けど、私、この子、この飽きっぽい私が、ずぅっと、観てて。
ああ、仁吉をはじめ人生を重ねている様を見てもらっている、
毎日と人生が役に溶け込んだり、役からそれが好けたりするさまを見させてもろてて。
さらに、この日、今まで理解出来なかった「仁吉」を、
彼に、彼だからこその人間性沁み出る仁吉で教えてもらった―

なんてしあわせなことなんやろう。

うれしくて。仁吉が好きになって(笑)。そして思いました。

ああ。

普通の人なのだ、やくざも、役者も。
芝居に描かれるやくざは皆、めっちゃひたすらに格好いい。
男の美学であり人としての理想像というか「かくありたい」「かくあるべし」。
世の中にはそういう本当に格好いい人も居る、が、きっとそう多くはないのではないか。
やくざでも、やくざだからって、そして 役者でも 役者だからって。
この仁吉は、こんな仁吉だから、だからお菊さんに本当の事を言って離縁をした、
長吉のために荒神山へ向かった、そして死んだ、死んだやない、死んでしまった。
男の華を散らした!なんて格好いいことやない、撃たれて死んでしまった、だから格好いい。
それを教えてくれたのは私にとってはこの座長であり(と、角井を演じた後見であり)、
ずっと観て来たこの劇団でした。

―タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない。(※こじつけ)

人間って、素敵やなぁ。




■omake■
3月22日、紅劇団、せら温泉にて。
紅大介座長(※今月13日から総座長(!))演じる仁吉を観て。
そしてその後、とあるベテラン役者さん、おひとり、おふたりと仁吉についてお話して。
で……次、そんな仁吉の登場人物「(神戸の)長吉」について…書くか、書けるか、たぶん、書く予定。
いろんな記事を。まぁたまにはこんな記事も(笑)

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