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zoom RSS 血と平手造酒 -流れてゆく、けれど確かに-

<<   作成日時 : 2016/02/02 23:46   >>

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≪平手造酒≫をみた。
樋口の平手造酒を観た。
≪平手造酒≫をみた。

樋口次郎。
それは我が「先輩」たちを語らせる名。
クセモノな先輩たちをも只のファンに戻す名。

これまでに何度その名を聞かされたか。

「血の匂いがするんよ、男の血。これがね、痺れるねん」(ルポライター)
「お元気やった?!何の芝居やってた?!観た?!」(興行師)
「俺若いとき憧れとったけん、唯一このひとにはね」(某会の会長役者)

中でもよく耳にしたのはこのひとの平手造酒。

ルポライター氏はビデオ(動画)も観せて下さった。
何年前のものかはわからなかった。けれど、「ヤバかった」
凄いや巧いではない「ヤバい」。抜き身のようだ。
女がちゃらちゃらくっつける世界ではない。

そんな樋口さんについて同時代を生きていた先生にも聞いてみたことがある。
「何を観た」「平手造酒」「フン、やっぱり」
あっちの方を見ていた。二人にしかわからぬ時代と思い出を見ていたのかもしれない。
「だからおまえはくだらねえ」

その樋口さんをやっと観られたのは、昨年、11月、尼崎、座・三和スタジオだ。

三部ショーの幕が開き、二番目。
流れて来るBGMに息が止まりそうになった。
古い古い芝居の声、平手造酒だ! 妙心尼とのやりとりだろう。
そこに客席から掛かる声まで聴こえて来る「樋口!」「次郎!」
嗚呼これはきっとその時代の御大の舞台を録音した音源だ。たっぷりと流される、血がカッと湧く、さあ、来る。

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出てきたのは次郎ではなく征二郎だった。
次郎の芝居音源で現れた息子、座長、樋口征二郎が、1曲、『平手造酒』を踊った。

「おまえかよ」

血の匂いも、死の高揚も無かった、感じなかった。
けれども踊っていた、このひとは、息子、座長樋口征二郎は。
しっかりと、しっかりと、平手造酒を踊っていた。

このひとはどれだけの「おまえかよ」を浴びてきたのか。

次の登場時には、私も噂にきいていた姿、和洋折衷両性同居な姿で踊っていた。
ふざけている様子は一切なかった、真剣に、見せていた。

和洋折衷、古今東西、温故知新、血、≪樋口次郎の息子≫、
客からの身勝手な「おまえかよ」を浴びてきたであろう樋口征二郎。
彼が踊る、平手造酒を。
父の音で、父と共に、きっと父がいなくなっても。
その得意だったうちのひとつ、平手造酒を、きっと、「俺が」、「俺だから」

御大は、最後、ラストショーの前に現れた。

着流しに、一升瓶、散切り、大木伸夫の『涙の酒』。

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生の鼓動は感じなかった。
今を生きている、という空気は感じなかった。
ひたすらに、今、自分の為に、
終わりを決めよう、これが最後かもしれない、
ただ、だから今、自分の舞台を自分が納得出来るがために、
そんな風に私には見えた、そんな空気を感じた。

一升瓶を手に、ひとり煽り、舞台という自分の中に入っていた樋口次郎。
客席からひとり「あの樋口次郎」に花を持って行った。
が、見なかったのか、見えていなかったのか。
自分の中から出てこなかった、そのまま、終え、去って行った。

嗚呼。≪平手造酒≫だ。

≪平手造酒≫が居た。

私、≪平手造酒≫をみた。

樋口の平手造酒を観た。

≪平手造酒≫をみた。

流れてゆく、けれど確かに、血をみた。

先日、大きな大会が開かれた。『樋口次郎 男の人生』、その際の芝居も、嗚呼、≪平手造酒≫だったそうだ。

大衆演劇、その舞台からは血が見える。残る、見える、匂い、立つ。

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