桃花舞台

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zoom RSS 声が語り掛ける「今」-あったかさとプライドと-

<<   作成日時 : 2016/02/14 00:06   >>

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≪美里英二、大日方満、浪花三之介≫
かつての時代に脚光を浴びた座長たちの中でも
関西で長く人気を誇った彼らはそんな風に名指しで三人、
特別に挙げられたりする。
けれどかつてを知らぬ今の私には正直そのひとが一番ピンとこない。
おひとりはあちらの舞台へいかれた。
おひとりはこの年明けに観てニタリとした。
そして、そのひとは今「おじいちゃん」だ。
高齢の人という意味ではない。
娘であり女座長のお父さんであり、二人のお孫さんのおじいちゃん。
家族が団結して頑張る自身の劇団で指導後見として、
けれど「おじいちゃん」の顔をよく見る。
そんな≪大日方さん≫をひさしぶりに観に行った。

10数年前、
初めて大衆演劇を観たその頃からずっと
「今の」「若い今の」より年齢を重ねた役者さんのそれに魅了された。
なぜだろう。落語や歌舞伎、そんな「重ねてゆく」芸能が元々好きだったからか。
そうしてずっと追う内、
舞台に立つことが日々であり人生である旅の芝居、大衆演劇、
だからこそ年齢を重ねた彼らのそれに痺れるのだと感じるようになった。
けれど大衆演劇は「大衆」演劇、流行を取り入れ、「今」と生きる。
どちらが優れているやどちらが偉いはない。
さらに年齢を重ねると、重ねることで舞台は渋さと深みを増す一方、
人間である以上体という「容れ物」が言うことをきかなくなっていく、
若い時とは決して同じではなくなる、そして、やがて―
この永遠の命題に流行と生きてきた役者たち自身がぶち当たる様もみてきた、聞いてきた。
そして、私はみてゆく(過去記事)。
ここ最近、改めてその覚悟を決めている。なぜか。それでも「格好いいから」。それだけだ。

今月頭、ひさびさに観た≪大日方さん≫はお芝居ではハゲ鬘の悪親分だった。
座長演じる格好いいヤクザ者の敵役として
手下演じるお孫さんのひとりとボケて、奥さん(きよみさん)を茶化したりしていた。
残念ながら個人舞踊はその日なかった。
けれど私が嬉しくなったのは舞踊ショーにおける司会だ。

「コーセン!」
「浪花のことら。ことらが踊ります。まだ踊りとは言えない踊りですがどうぞ温かい目で観てやって下さい」
「続きましては先程のことらと、若ちゃん…大日方忍のおばあちゃんが踊ります。大日方きよみのステージです」
「座長皐扇。カラオケのステージです」
「ご声援宜しくお願い致します!…若ちゃん!」

76歳のその声は溌剌と、あたたかい。
ああ、これだ、数年前に観た時も、その何年か前も、これ、これが特に印象深かったんだ。
しゃきしゃきと、明るく、あったかく、
けれど私はそこに滲むプライドのようなものを感じる。

苦労と苦労を越えて、
華の時代をも越えて、
女座長の家系?!いや愛娘に座長を継がせ、
二人の孫(男の子)を「おじいちゃん」の目で影から見守り、
劇団指導後見として大日方の「家」と「血」と「芝居」を継がせ、今、76歳。
おじいちゃんとなったかつての≪あきちゃん≫大日方満が家族を紹介する。
これが大日方満の劇団だ、誇らしき家族だ。老いてなぞ居ない、老いても老いてなぞいない。とでも言うように。
歳を重ねたから今がある、誇らしき家族が傍に居る、娘(前記事その@そのA)、妻、二人の孫、そして座員、この劇団。
その声はおじいちゃんの顔を見せながらもプライドある「役者」の声に私には聞こえる。

あたたかさと、そしてプライド。

画像

(この日舞踊は出られなかったので5年前の写真で失礼!!)

芝居の途中、ハゲ鬘のワル親分だったけれど、ドスを手に、ちょっと、やった。
「赤城の山も今宵限り」
すぐに座長から「それ芝居が違うから」とツッコまれていたけれど、見た気がした、その魂を。
そう云えば、あの時、特別狂言『男の人生 雪ざんげ』でも、
立ち廻りの際、ひらりと着物を肩脱ぎする仕草に70歳なのに、いや、だから「いろっぽい」と感じたんだ。
その後すぐに「ちょっと!ちょっと待ってくれ!お前は若いから走り回れるかもしれへんけどな、
俺!しんどいんや!ちょっと待ってくれ!」とおとうさん(おじいちゃん)の表情を見せ、笑っていたけれど。
あのシーンは今も忘れない。

語り掛けてくような気がした、司会の声がそして今の舞台が。
今を生きている声と、自身の舞台が、何より、家族と生きる劇団すべてが。

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イケイケGOGO、≪俺たちの世代≫≪私たちの世代≫≪若い世代≫-大衆演劇、それは人生(いきざま)-
「ここ2〜3年で≪俺たちの世代の役者≫は確実に皆あっちへ行くよ」 先生≠ェ言う。居ても立ってもいられない。 「仕方ない。事実なんだから。なんちゃない」 抗うことは出来ない。けれどずっと考えてる。ここ数年、特に昨年から。 出来ることなど何もない、そんなことを考えること自体が俗であり野暮である。 「残したい」なんて傲慢すぎるほど傲慢だ。 けれど、その≪俺たちの世代の役者≫がどの世代よりもたまらなく、 今の世代の皆より「カッコいい」と思う私は、愚かしくも焦り、日々もがく。 そん... ...続きを見る
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2016/02/14 03:14

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