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zoom RSS ある「二代目」の『千本桜』-名と芸とナカミ≠ェ咲かす花満開-

<<   作成日時 : 2016/02/18 22:11   >>

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『千本桜』
元はボーカロイド、機械が歌う。
数年前、演歌歌手小林幸子が
「ニコ動」にて豪華絢爛な格好で披露し話題を集め、
昨年末の紅白歌合戦、この歌を歌い返り咲いた。
10代のカラオケ人気曲ナンバー1だとも言われる。
人気に乗り和楽器バンドver,が出たり古語ver,も出た。
大衆演劇の舞踊でも全てのver,がよく使われている。
この『千本桜』で忘れられない舞踊を観た。
それは≪継がれたもの≫、名と芸と、ナカミ≠ェ見事に咲かせた『千本桜』だった。

「二代目」
その名前と存在だけはずっと「師」…九州一の名優、「美影愛」から聞いていた。
やっと目にすることが出来たのは昨年9月、大阪、ある劇団の一か月ゲスト。
舞台に登場した彼を見て驚いた。
師の若き日のお化粧に瓜二つ。 写真で見たそれにそっくり以上にそのもの。
あだっぽく、妖艶、 「今風・メイク風」ではない、
だがその時代においてはとても斬新だったのであろう、そんな顔。

芝居も。
どの芝居も、他の今の若い役者とは一線を画していた。
中でも初の劇団で初の芝居(『任侠男節』)で元々はない役を師に言われ見事に演じ切り
師のアドリブ(セッション)にほぼ完璧に着いてゆき役を生き抜いた姿に「力」を見た。
旗揚げから師―
九州の血と感性と美学の男がその劇団に居た10年の間、
文字通りすべてを叩き込まれ、また血の滲むような努力で着いてゆき培ってきたのだろうと思った。
そうして師が離れた今も体が覚えたそれを素直さと、柔軟さと、そして母(座長・島崎寿恵)譲りの感性で磨いているのだろう。
舌を巻いた。

舞踊でも古典をしっかりと。
数日間観たがイマドキのちゃらちゃらした曲は踊っていなかった。
ニコッ、イェーイが主流な若い役者たちの舞踊の中でその顔と芸はおかしなことに異質さすら感じさせた。


異質―そう見えること、その時代―

そんな彼が月の中盤に踊ったのが『千本桜』だった。
(2015・9.19、まな美座まつり@劇団芸昇、堺東羅い舞座)

≪千本桜、夜ニ紛レ 君ノ声モ 届カナイヨ。此処は宴、鋼の檻 その断頭台で見下ろして
三千世界、常世之闇 嘆ク唄モ聞コエナイヨ 青藍の空 遥か彼方 その光線銃で打ち抜いて≫

ケッタイな曲だ。
歌詞の意味なぞたぶん何もない。
ケッタイな格好だ。
いや、それはきっと矜持とこだわりある拵えだ。
曲のノリだけを使い客席にアピールしているんじゃない。ちゃんと「舞踊」だ、いや、その舞踊は彼自身だ。

「嗚呼お弟子さんだ、「二代目」だ」 !

【師であるその人】、美影愛は流れ者で洒落者だった。
客を意識はする、無視はしない、けれど客に向けては芝居しない。
そんなポリシーで芝居に心血を注ぎ、舞台で美学を貫き通した。
しかしそんな九州男児の骨太さを持ちながら洒脱で粋だった。
生まれてくるのが早かった役者と言われたり天才すぎたという人も居る。
違う。己の舞台に「我は我」だとこだわりを持ち、感性のまま、他とは違うことを貫き通してきただけなんだ。
そうして自身の「最後の劇団」でその美学と流儀を指導した、家族≠スちに。

そんな師の若き日、青年座長だった頃の名の、「二代目」が、今、『千本桜』を踊る。

≪大胆不敵に ハイカラ革命 磊々落々 反戦国家≫

嗚呼、「一緒だ」

嗚呼。こうして継がれてゆくんだ。
時代が変わっても時代を越えて。

お化粧というカタチだけじゃない。
芝居が、舞台がという表面的なものじゃない。

想いが、精神が。

ナカミ≠ェ。

胸がいっぱいになった。

≪アイツもコイツも皆で集まれ聖者の行進、わんっ、つー、さん、しっ≫

二代目はめちゃくちゃいい笑顔だった。
化粧顔からイマドキの若者の顔がちらと覗いたように見えた。ニタリと嬉しくなった。

熱、ひしひしと。芯、凛凛と。ナカミ=A熱く、熱く。

まな美座、「二代目里見剣次郎」。

画像

(※写真は別日、9月22日、曲は『東京キッド』だったかな。この御顔…この笑顔!)

画像

(※そして9月6日、曲忘れたけど女形でもこの笑顔!)

若くもプライドある役者の、滾る熱き想い滲むようだった『千本桜』に思った。
「これまで」を経て、今、その「これから」の花はきっと満開だと。
大衆演劇、その「これまで」も、「これから」も、きっと満開だと。

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