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zoom RSS カラスたちの『男酔い』-旅役者の「血」-

<<   作成日時 : 2017/01/30 19:41   >>

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白鳥はかなしからずやなんとやらという歌がありますが
カラスたち旅役者もまたかなしからずや否か。
厚い化粧に憂いを隠す旅役者とその日々の舞台たちは
私にはかなしたのしく見え、たのしかなしく見え、だからこそ魅了されてやみません。
なんて舞台なんだ、なんて人間≠ネんだ。
面白い、切ない。嗚呼やっぱり永遠に離れられない。
なんだかワルい男にハマってしまったみたい。
微苦笑します。そんなとき頭の中に流れるのは吉幾三の『男酔い』です。

「男」が生き辛い時代となりました。
姿を消したとは言いたくありません、
けれどいずれ消えてしまうかもしれない、消えないと信じています、
ですがますますしんどくなってゆくのでしょう。
旅芝居の世界も同じです、寂しいです。
けれど大衆演劇は時代と寄り添い時代と共に生きてゆくもの、「今」。
だから「今は今」でいいのです、ただただ私の感傷でしかないのです。
と、思っているのですが、やはり寂しいものは寂しい。
でもね、私、今の旅芝居の舞台にまだ少し「男」を感じたりもする瞬間があります。
カケラというか、底の底の底の方に。
勿論、まだまだです。
「ええ芝居やな。この芝居の主人公格好いいな。けどええ芝居やのに。芝居はいいのに」
「その踊り。お前。どや顔してるけど今客席が見惚れてるんはお前の力ちゃうで。曲がええからやで」
若手は勿論偉そうにしている大御所数名にも本気で思います。
が、でもね、それでも、ふと感じるような気がするのです。
本人たちは意識しておらず(出来ておらず)な無意識の中に、「芯」や「核」、「男」を、
ファーストフード君やコンビニのくるっとビニール巻くオニギリ君たちの中の中に。

『男酔い』。
初めて聴いたとき(観たとき)思いました。
「嗚呼「男」の歌だ、現代の股旅歌だ」
遠く捨ててきた故郷、通り過ぎていった女、過去。
嗚呼あんなこともあったなあ、こんなこともしてきたなあ。
生きてきた道のりを後悔はしていないしきっともう一度生まれ変わっても同じことをするだろう。
ばかだなあ。格好つけたり、寂しかったり。バカだなあ、俺ってバカだなあ。
なーんてひとりごち、笑う男の物語(おはなし)。
正直どう考えてもある程度の年齢や経験を重ねた人にこそ似合う歌だと思います。
若いコには技術どうこうではなくまだ早いように感じます。
けれどまあ!老いも若きもチャラ男も中途半端も!
ほぼ全てと言って過言ではないほどの劇団で今日も踊られていると言っても過言ではありません。
皆とても気持ちよさそうに、それこそ酔いながら。
またそれを観てまあ!その程度でもキャーッと声に出したり出さなかったりして客席が見惚れてる。
「あー…こいつもあいつも薄っぺらいなあ、まだまだだなあ」、けれど思います。

―血だ。血が呼ぶんだ。血が「これ、格好いい!踊りたい!」と思うんだ。

すぎもとのハードボイルドで格好いいメロディと吉幾三の哀愁と郷愁の唄声。
「格好いい」、でも辿り着けていない人の舞踊はまだまだイキってるカッコイイヤンキーのキメキメみたい。
けれどそのヤンキー≠ヘ決して非難すべきものではない。
ヤンキー=Aそもそもヤンキー≠ニはなんだ。
いわゆる世の中から嫌われがちの「不良」なものとされ見られるもの。
けれどこうとも言えないでしょうか。
≪決まった道(人(例えばそれは大人だったり)に決められたこと)を良しとせず
「俺の道」に走り俺の道をぶっ飛ばし貫こうとすること・ひと≫
その不器用ながらもまっすぐに「道、貫こうとする」ところは
まだまだ「男」まではいかないけれど、でもそれでも「男」と同じ線上のようなないような。
幼いけれど未熟だけれど、いや時代と共に幼く未熟となってしまったのだろうけれど、
旅役者、世間からなにがしかと言われて「なにくそ!」な精神と
芝居を通し板の上で矜持を持って「男」を見せてきた先人たちの芝居と型を
つまり≪想い≫を継いできたからこそ、
アタマではなくからだで無意識で、
旅役者の「血」がこの歌に惹かれるのではないか、
そうしてまだまだでも「今」自分なりにカッコよく踊っているのではないか。
嗚呼、まだまだだけど、でも、ちゃんと『男酔い』、これも『男酔い』、今の『男酔い』、
今日板の上に立っている役者たちは先人たちから継いできたものを
自分でも意識しない血とナカミで継いでおり、
それを「今」舞台で見せている、そしてこれからも見せてゆく、そういうことなんだろう。
嗚呼、今日もほろほろ男酔い、今日も明日も酔って酔わせて役者酔い。

旅役者、カラスたち、「男」たち。
時代が移り変わっても継いで継がせて継いでゆく「心」の舞台で
今を生きるひとびとの心をあったかくする役者(おとこ)たち。
その舞台は熱と力とも称されますがなんだかそうであってそうじゃない、それだけじゃない。
ぱぁっと明るく、でもどこか寂しさやほの暗さ、
生きてゆくことの楽しさとかなしさと喜びとさびしさ切なさ、
すべてが滲み、漏れ、匂ってくる人間臭くて逞しく儚い舞台。
からだで伝えてゆく人生が舞台で舞台が人生の虚実皮膜の夢芝居。
白鳥はかなしからずや、カラスたち旅役者はかなしからずや否か。
きっとかなしいと思います、かなしいこともたくさんたくさんだと思います、
それでも笑う、格好つけて格好良く、笑う、芝居小屋には泣き笑いのそれでも笑いが今日もあります。
だから旅芝居はその小屋は切なくもあたたかいのだと思います。
彼らが「今」踊る『男酔い』が私はとても好きです。旅芝居が、人間が、とても好きです、愛おしい。





■omake■
今日は白鳥やらカラスやらと書きましたが、これがトンビならこうなるのである。
【今日も笑顔で毎日「ワッショイ!」-大衆演劇、それは人生の旅人達の毎日の祭-】
http://momo1122.at.webry.info/201311/article_7.html

文中、ヤンキー≠ノついて触れましたが、過去にこんな記事も書いているのである。
【大衆演劇≪虚実皮膜≫ヤンキー論 -クレイジーケンバンドをBGMに-】
http://momo1122.at.webry.info/201310/article_4.html

あ、『男酔い』と並んで人気の『酒の川』、そのナカミ≠ノついてはこんな風に。
【寂しさ、あるいは、なんて素敵にナルシシズム -『酒の川』-】
http://momo1122.at.webry.info/201303/article_4.html

そして先日の記事、「男」ってなんだ? 男であれ女であれ!
【「男」たちへ(そして「女」たちへ)〜役者たちへお客たちへ、今〜】
http://momo1122.at.webry.info/201612/article_1.html

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血と矜持-旅役者、その誇り高き≪ヤンキーイズム≫!-
敬愛するジャーナリストに都築響一さんという方がいる。 彼がライフワークのひとつとして目をつけているのがヤンキーたちの独特のセンスだ。 改造車、バイク、特攻服、「夜露死苦」的フレーズ。 「ヤンキーは文化だ」「全身全霊の生き方から生まれた心からの叫びだ」 なのに編集者たちは眉をひそめるという。毛嫌いするのだ。 「僕たちはそういうやつらの爆音に耳を塞ぎながら必死で勉強して今ここに居るんです」 都築さんは言う、書く、叫び続ける、「それでもヤンキーは文化だ、芸術よりも芸術だ」 熱くなる... ...続きを見る
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2017/05/06 10:29

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