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zoom RSS 血と矜持-旅役者、その誇り高き≪ヤンキーイズム≫-

<<   作成日時 : 2017/05/06 10:29   >>

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敬愛するジャーナリストに都築響一さんという方がいる。
彼がライフワークのひとつとして目をつけているのがヤンキーたちの独特のセンスだ。
改造車、バイク、特攻服、「夜露死苦」的フレーズ。
「ヤンキーは文化だ」「全身全霊の生き方から生まれた心からの叫びだ」
なのに編集者たちは眉をひそめるという。毛嫌いするのだ。
「僕たちはそういうやつらの爆音に耳を塞ぎながら必死で勉強して今ここに居るんです」
都築さんは言う、書く、叫び続ける、「それでもヤンキーは文化だ、芸術よりも芸術だ」
熱くなる。旅芝居大衆演劇にまったく同じことを感じるからだ。

旅芝居・旅役者と「ヤンキーイズム」の関係性についてとても注目していて。
ここにも書いてきた。
【大衆演劇≪虚実皮膜≫ヤンキー論 -クレイジーケンバンドをBGMに-】
【歌は気持ち@ギャル演歌とヤンキー歌謡】
【カラスたちの『男酔い』-旅役者の「血」-】
ある時熱烈なファンから猛攻撃を受けて狂ったようなメールをもらったことがある。
「そんなもんじゃない汚すなあなたの一方的な間違った観方だ」
確かに私の切り口だ。けど私はここに大衆演劇の本質のようなものを感じてならない。

「蝉が泣くちくしょうと」(『蝉』)
「べろんべろんの悲しみがおまえにわかるかキリギリス」(『キリギリス』)
虎とか龍とか髑髏とか般若とか仏教とかクロムハーツの十字架。
ダブルのスーツとかセットアップのジャージ、バスローブ、ガルフィー(犬柄)。
腕の数珠、EXILEのジャージ、バイク、名前入りぴかぴか改造車。
素敵すぎる女の口説き方(男の役者さん)、
若い女優さんから若く…ない女優さんまで皆の好みの男性有名人のタイプ。
物の見方、とらえ方、考え方。

そしてなにより舞台。
「観ろ!観よ!」
「絶対に楽しませてあげる」
「かなしくてもさみしくても劇場に来たら笑顔にしてあげる」
「俺の舞台で、俺たちの舞台で」
「さあおいで。楽しもう」
各劇団各役者にそれぞれやり方やカラーはある、
舞台にのっけられてるものややり方こそ時代と共に変わってきたかもしれない。
けれど変わらぬものはこの心意気、矜持あるサービス精神による舞台だ。
現状に甘んじず、時代と共に時代を越えて
いつもいつでも私たちお客の心に寄り添って「今日」の「俺(私)」の舞台を見せてくれる。
例えばがらっがらの寂れた温泉センターの舞台であろうと
騒いで観てくれもしない宴会の大広間に見せる舞台であろうと、
大きな劇場であろうと、小さな劇場であろうと
彼ら彼女ら旅芝居の舞台は常に愛と矜持に溢れた「攻め」の姿勢に満ちている。
ガンガン押すという攻めもあればただひたすら静かに演じ切るという攻めもある。
どんどん自分流の新しいことをして切り拓いてゆく攻めもあれば
これまで継いできて守ってきたものを守り通すための攻めもある。
形はさまざまだが守りや受けではなくお客様のため自分のための「攻め」。
前へ前へ、戦い、戦い続け、生き、生き続ける彼ら彼女らの舞台と自身・・・
「あるべきを良しとせず自分たちのやり方で」
「こうあるべき、こうあるが良しを否定し俺たちの生き方を通す」
「当たり前や常識という道をハズれ、ハズし、ハズしたことに矜持を持つ」≪ヤンキーイズム≫を感じ、
例えとして使うことはあながち間違いじゃないと思っている。

この≪ヤンキーイズム≫・・・もうひとつ例えるなら≪ロック≫な様と生きざまはなんなんだろう。

やはりそれは「毎日が舞台であること」「舞台が人生」という刹那な生き方によるところが大きいのではないか。
毎日毎日毎日毎日続く人生。ホント、毎日毎日毎日毎日。
考えると途方もない。けれど考え止まっている暇はない。
常に舞台、舞台のことお客のことを考え、立つ、動く、今日の舞台、明日の舞台、また今日の舞台・・・
とても刹那的で、はかなく、たくましい生き方。

そして、もうひとつ。
それは旅芝居旅役者が常にさらされてきた偏見やその歴史に対する「血」なのではないか。
芸人。古くは河原で、村で、「芸」を見せ、生きてきたこと・ひと。
この文明化した時代に「俺」「俺の芸」で稼ぎ食べてゆく暮らしてゆく生きてゆく生き方は
誰にでも出来ることではなくて、けれど人の生き方の原点と言っても過言ではない。
そうして生きていることそのものが誰か(観た人)の活力となり救いとなるなんてまるで≪神≫みたいだ。
なのに≪ドサ回り≫≪かわらもの≫偏見や悪いイメージは決して消えない。
神ではなく人間だから生きてゆくための「お金」や魅せて魅せられるからこその「男と女」、
生きてゆくに切っても切れないものが殊更に取り沙汰されるせいだろう。
芸の人たちだけでなく人間すべてについてまわる「生」そのもののテーマにも関わらず、
これゆえに妖しくも美しく切なく本気の芸となるにも関わらず、
でももはや舞台に上がる以上「スター」である以上は宿命、有名税みたいなものだろうし
きっとこれからもきっと消えることはないんじゃないかなあと思っている。

そんな自分と自分たちの力ではどうすることも出来ないこと―
生きていくことそのもの「生老病死」やこれまでの歴史や人からの目に
「それでも自分たちは凄ぇんだぜ、面白ぇんだぜ」
「こんなにおも客様を楽しませていて幸せにして幸せにし返してもらってるんだぜ」
「俺たちの生き方って生きざまってこんなに楽しいんだぜ、苦しいけど最高なんだぜ!」
・・・とでも言う思いが、「血の叫び」が旅芝居の舞台には溢れ、滲んでいるように私には見えるのだ。

というようなことを感じ書いてきたら冒頭のクレームというか突っかかりである。
きっと「ヤンキー」という言葉に過剰反応したのだろう。
「ヤンキーになんて例えないで」って?それヤンキーを馬鹿にしてるやん差別やん。
けれど本人には馬鹿にしたり差別したりの意識はないのだろう。
ただ「自分たちとは違うもの」と思ってきて生きてきただけなのだろう。
きちんと学校に行き、進み、自分と近しいものたちのグループ内で生きてきて。
そこそこ勉強が出来てお利口で品行方正、女子危うきと品なきものに近寄らず。
私もそうだった。若い頃は全く無縁だった、
地方在中でもなかったしヤンキーな友達も一人も居なかった。中途半端なお利口さんだった。
けれど大衆演劇旅芝居と出会い、どっぷり浸かるようになり、血の高揚を感じる。
アタマでなく心と体が動く。
それは戦い戦い続け死ぬまで戦う人たちの舞台だからだと思う。
全身全霊「攻め」の舞台、巧い下手綺麗醜いではなく
熱と力と矜持ある生きざまの舞台だからこそ揺すぶられる、熱くなるのだろうと思う。
なんてきらきらでギラギラなんだろう。血が湧き立つ。震える。
儚くもたくましくて、だから美しくて。刹那なのに永遠で、眩しすぎて泣いてしまう。

≪ヤンキーイズム≫とは例えたけれども・・・
旅役者とヤンキーは決定的に違うところがある。
最後に、ココ、叫んでおきたい。届かないかもしれないけれど、伝えたい。
実際のヤンキーは割と早い目に落ち着いたりする。
運命の女的なものに出会いドラマチックに口説いて子供が出来て。
結構いいパパママになってなんだかんだでしあわせになったりしたりする。
勝手なイメージでごめんなさい。
しかし旅役者は落ち着かない、落ち着けない。
勿論ある一定の年齢になったら家庭を持ったり私生活というか人間としては落ち着く。
しかし舞台は毎日続く・・・一生。
時代と一緒に生きていかないといけないし
その時代時代の客を楽しませないと劇場をいっぱいに出来ないと次の仕事先(公演先)がない。
けれど人間だから歳をとってゆく、時代はうつりかわってゆく。
年を重ねれば重ねるほどつらくなりしんどくなり・・・
悩んだり気持ち的にしんどくなり体がついてゆかなくなったり・・・
ヤンキーもとい全ての旅役者たちが最後に戦うのは時代いや自分自身なのかもしれない。
なんて宿命だ。
けれど私は言いたい、叫ぶよ。
若い頃は勿論、若くなくても今ちょっとしんどくても悩んでいても
あなたは格好いい。他の誰でもなくあなたが格好いい。皆、皆、美しい。
私たち客は他の誰でもなくあなたにやられたい。
血が誘う。血が呼ぶ。血が湧き立つ。
旅芝居の血、人間の血、男と女の血、旅芝居は矜持だ。
私はその矜持に惚れている。
上手く言えない、
が、これ、大衆演劇旅芝居というものによって血に気付かされ血を引き出された
精神的ヤンキー≠スる物書き桃の想いである。



■omake■
冒頭に紹介したジャーナリスト(カメラマン)都築響一さんについて書いた記事。
よろしければ。

【HEAVEN-都築響一と巡る社会の窓から見たニッポン-】

【What a Wonderful World -都築響一さんの追っているもの、追う姿-】

【“いっちゃってるジイサン”“どうしようもないママさん”に都築響一が出会った】


【「鵜飼正樹」と「都築響一」…妖怪に見入られた妖怪は大志を抱く!】


【「自分にとってリアルであって初めて、歌は、踊りは…言葉は、快感になり、癒しになり、麻薬になる」 】

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。突然の書き込み、大変失礼します。
私、こちらのブログで何度か"おっちゃん"と呼ばれていた、Tの娘です。
前々から、このブログで父のことを書いてくださっていることを知りながらも、コメント残せずにいました。
ですが、一言お礼を申し上げたく、ここに足跡をつけさせていただきます。
父のことを慕ってくださり、本当にありがとうございます。
T娘
2017/05/28 15:19
縁とは不思議なものですね。
びっくりし、でもとても嬉しく、想いを馳せております。
もう2年ですか。
お父様のことは風の便りに知り本当に驚きました。
当時のアルバイト先をやめてから一度だけ・・・
それこそこのブログのメールフォームから
メールを頂いたことはあるのですが
慕いながらも素直になれずちゃんと伝えられず
(また若さゆえのバカさもあり)
お父様にもたくさん失礼なことをしており
当時は顔をあわせればふざけたこと失礼なことばかりしていたため
互いに連絡先を交換することもなくちゃんと会うこともないまま
ずっと気にしてはいたのですが会えぬまま・・・
で、まさかそんなことになるとは。
もっとたくさんいろんなお話を聞いていたらよかった。
素直に教えを乞うておけばよかった。
ふと思いだしたときいろんな気持ちに駆られています。
けれどおっちゃん=iすみません失礼な呼び方ですよね)
もといお父様からから頂いた台本のコピーや当時の企画書などは私の宝物です。
あんな深みがありセンスのある物書きになりたいと思います。
たまたまアルバイト先で出会った演劇人が
同じ大学の演劇サークル(ライバル劇団ですが。笑)の先輩で。
いろいろ話をして。
さらにこうして娘さんにまでコメントをいただけるとは。
ありがとうございます。本当に嬉しかったです。
縁と想い出を大事に、一生懸命精進します。
お会いしたことはありませんが
このご縁に繋がったお母様にもどうぞ宜しくお伝え下さい。
本当にありがとうございます。
桃⇒Tさんの娘様
2017/05/28 17:19

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