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zoom RSS 「本当」について-きっとそれが旅役者-(美影愛)

<<   作成日時 : 2017/08/26 23:24   >>

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惚れた役者がいます。
旅芝居は生き様。
感性、人生観、いや人生そのものが舞台に滲む。
舞台が生きてゆくことそのもの自分そのもの。
だから惚れた役者が居ます。

「本当」の芝居が観たい。
ずっと思ってきました。
ん?本当って何だ?
正直よくわかりません。
でもなぜだろう。
「本当」そして「本当の芝居」に出会いたい。
ずっと思ってきたんです。
私は人間というものが愛しい面白い、
だから大衆演劇・旅芝居が面白い。
でも同時にいつもずっと苛立ちながら観てきました。
自らも書くを生業としもがきながらずっと。
私にとって「本当」と思える芝居を探してきて
諦めもして。
でも出会いたいと思ってきました。

いつからでしょう。
芝居の「嘘」がとても嫌になりました。
舞台で演じられる芝居の「嘘」が目につき鼻につき疑問を覚えるようになりました。
考えたら芝居とは「虚」(虚構)です、物語(おはなし)です。
けれど演じるのは「実」です、生身の役者です。
なので「嘘」とか「本当」とか言い方が違うかもしれません。
でもこの言い方が近いように感じます。

大衆演劇・旅芝居の芝居は
最近流行りの新作やオリジナルを除き
大半は先人たちから継いできたスタンダードの古典です。
何を伝えたい芝居なのか。どういう人物なのか。
理解して自分のものにしないとなんだか「嘘」。
「嘘」とは言い過ぎかもしれないがなんだかカタチだけのように私には見えます。
なにも考えずストーリーをなぞったままやっていたら「ただストーリーがいいだけ」
「いい話やったなあ」「いい話なのになあ」
役と役者に関しても。
役者はやはりまずは見た目です。容姿だったり年齢だったり見た目の問題は避けられません。
役や話を今の自分(の劇団や自分の役)に合わせ引き寄せることって大事なんじゃないかなあと思います。
時に合った役でないと厳しいし、役を役者(自分)に合わせる(引き寄せる?)ということ必要かもしれない。
(そうすると設定はもちろん筋やオチまで変わることもあるだろうし変わって当たり前だと思います)
更に考えずなぞっただけの「この台詞を言ってますよ!」「この所作つけられましたよ!」が滲む演技。
滲み見えるたび冷めてしまう。生きていないように思え、「嘘」に見える。
また本人は「成り切っている」つもりの大熱演。
これも冷めてしまう。「ああ、熱演ですね」それはたぶん全然成り切れてなんかいない。
どちらも嘘。嘘が嘘のままのような。本当ではないような。本当になっていないような。
嘘でもいい、いいかもしれない、でも、私には届かない、響いてこない。

敢えて言葉にしてみると
私にとって「本当の芝居」とは
役と役者が、虚と実が「溶け合って、一緒になった」ように見えるとき・芝居かもしれません。

大衆演劇・旅芝居だからこそ。

毎日が舞台、
趣味じゃない、お遊びじゃない、
舞台が生きることそのもの人生そのもの、
そんな大衆演劇・旅芝居の芝居だからこそ、
虚構の物語の中の「役」と
実を生き今その物語を自らの肉体で見せる「役者」が
重なって一緒になって「そのもの」に見えたような瞬間や芝居…
役者と役がそのものにしか見えないような瞬間や芝居に出会えたとき私は本当に震えます。
極論ですね。
でも、ありものの台本や作・演出家の世界観の押し付け芝居ではなく
旅芝居・大衆演劇だからこそ
舞台が人生である旅役者たちだからこそ
「生きてきて」今「生きている」からこそ
そんなときや瞬間や芝居そのものが本当にあるのです。
物語と現実の世界が重なり虚実が「今」観客(私)の目の前で生きる。
生きて、消えて、でも心の中にずっと残る。
もはや芝居じゃないのかもしれない。
芝居が芝居を越えた瞬間なのでしょうか。
いや、芝居です。
芝居だから、旅芝居の芝居だからだから味わえる本当の本当だと思うのです。
虚と実が重なった瞬間、向こう側…
虚実皮膜、唯一無二の「今」と「生」、「本当の本当」。
それはまさに「生」そのものとしか言えなくて、だから震えるのだと思うのです。

そんな「本当」に私は出会えました。

「美影愛」、74歳の旅役者です。

これまでもたくさん書きましたが無粋すぎて恥ずかしい。
四の五の自己陶酔的なこじつけをするのは簡単です。
きっとそんなんじゃないのだと思います。
ただ初めて観たときゾクゾクしただけ。
「おもしれー!」「やべー!このジーサンやべー」
だから書かずにいられなかっただけ。
その糸が数年後偶然繋がっただけなのです。
繋がった糸は私に「本当」を見せてくれました。
私にとって圧巻、圧倒、「本当」を感じた舞踊『羅生門』。
そして羅生門の縁が見せてくれた数々の芝居たち。
どれもに「本当」を感じました。
ゾクゾクから繋がった糸は切れず私にとって唯一無二のものとなりました。
舞台と生きざま・・・「本当」だからたくさんのことを学ばせて頂いています。
素晴らしい「二代目」と「座長」、
魂の絆で結ばれた家族たる劇団が今日も本気で舞台(きもち)を見せておられます。
けれど「本当」に触れ私にとっても人生の師匠と呼ぶ存在となりました。
「本当」、虚実皮膜、唯一無二の「今」と「生」、いや、ただ、ただ、「生」。
もう言葉ではありません。言葉になりません。物書きだけど、物書きだから、言葉以上です。

画像


ただ舞台、ただ「俺の舞台」。ただ「生」。
きっとそれが旅役者だと私は思います。
だから私はこの役者に惚れて、追わずにおれないのだと思います。

■omake■
本当に無粋ですが無粋を承知で過去記事を貼ります。

【老侠一人(Phantom)-美影愛-】
http://momo1122.at.webry.info/201511/article_1.html
【光と糸、「本当」-美影愛という旅役者のこと@-】
http://momo1122.at.webry.info/201703/article_2.html
【火と業、「魂の色気」-美影愛という旅役者のことA-】
http://momo1122.at.webry.info/201704/article_1.html

【怪人(ファントム)の美学 -美影愛-】
http://momo1122.at.webry.info/201208/article_22.html
【羅生門には鬼(ファントム)が居る―【そのB・明日へ】】
http://momo1122.at.webry.info/201504/article_3.html
【役者とは、或いはつまり人生とは-『流れるままに』-】
http://momo1122.at.webry.info/201504/article_7.html

【ある「二代目」の『千本桜』-名と芸とナカミ≠ェ咲かす花満開-】
http://momo1122.at.webry.info/201602/article_5.html

【大衆演劇、「これから」のために、楽しむために -ある『カラスの仁義』から-】
http://momo1122.at.webry.info/201612/article_2.html

【旅役者とは、旅芝居とは-ジジーたちの舞台から-】
http://momo1122.at.webry.info/201703/article_1.html

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