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zoom RSS 飄々と、必死に-その白い手に思う旅役者讃歌・人間讃歌-

<<   作成日時 : 2017/01/11 01:13   >>

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画像泣きそうになった、差し出された白い手に。
客席に降りひとりひとりに握手する姿に。
舞台の上では勘違いさんが安全地帯を歌ってる。
歌わせ、座長はさっきの女形姿のまま、
降りてきてひとりひとりの手を握る。
ぎゅっと握り最高のスマイル…じゃない、
全然完璧じゃない、不器用、必死なんだ。
その必死なのに日々毎日やってるがゆえに
必死を通り越してもはや飄々となった様が
切なくてでも愛おしくて笑ってしまう。
グッと来て泣きそうになりながら。
若くないそのひとは、≪今日も一生懸命頑張って≫いる。
役者だから、座長だから、旅役者だから。生きているから。

もう何年観ているか。
10年は越えているだろう。
入れ込んで追っかけている訳ではない。
が、つかずはなれずずーっと観ている。
なんだか最近ネット上で一部熱っぽい人たちに騒がれている。
どんなに凄い劇団やと思われるやないか。
笑ってしまったりする。
が、もしかして一年ほど観ていない間に皆のレベルが上がったのか?!
ビックリ&ちょっと期待したけれど良くも悪くも変わっていなかったし、
「ああ、この劇団だ(喜んだり怒ったり、そして、しみじみ)」だった。
ここだけが特段巧い訳ではないし、ここだけが特段団結力や仲の良さが目立つ訳でもない。
どの劇団もいいところ悪いところ困ったところがありここもそうなのだが
長く舞台をみていることで滲み見えた人間性や人間関係からの舞台への影響は見えるように思えてならない。

一体何人の座員が入れ替わっただろう。
この気遣いの人は座長として何人を見送り何人の面倒をみてきて今もみているのだろう。
甘えてるんじゃないか、この座員も、あの座員も、あのゲストも、ものすごく。
甘やかす方も悪いところはあるだろう、けれど、ちょっと思ってしまう。
でも、なんだか皆が「個人営業」みたいなところが目立ちだした、時代のせいもあるだろう。
そう、たった10年ほどなのに、時代が変わった、客層もかなり変わった、客も変わった。
この座員も、あの座員も、いろいろ勘違いしてるように見える。
けれどそれは彼だけのせいではなく、客のせい、と、もっと大きなもののせいなのだろう。

しかし芝居。この芝居やっぱりいい芝居だなあ。
芝居はいい、なのに、このひとたちこんなに巧くなかったっけ?
いや、いい意味で変わらずこうだ。
私が変わったんだ。
同じく表現を生業にする苦行に生きバカなりにも学んできたことで、
そしてこのひとたちにも学ばせてもらってきたことで。
しかしホント大衆演劇の芝居ってどうなってゆくのだろう。
戦わななあ、舞台の上の者も、客席の者も、皆が、皆で、おおきなもの≠ニ向き合って。

ショーでも。
この劇団、こんな若向きの曲そない使ってたか?
顔見せ幕開きから『千本桜』、ショー幕開きから『無条件』。
うわぁ、時代やなあ、ガンバってるんやなあ(しみじみ)。
変な裾引きで女形を踊っていた。
全然『高瀬舟』じゃない。
けれど名前にぴったりな豪華な絵の描かれた裾引きに思う。
きっと誰かからのプレゼントかもしれない、この気遣いの人は、だから着たのかもしれない、と。
いやそれとも自分自身で敢えて、わざとだろうか?
若くはないからこそ敢えて華やかで派手なものを?いや座員や同業者を意識して?
どちらにしろ曲には合っていないし、前まではこんなド派手な着物はあまり着ていなかったように思う。
(その後の立ちでもド派手なものを着ていたので余計そう感じた)
そのまま座員に歌わせて客席へ降りてきた。
必死だ、必死なんだ、私にはそう見えた、ずっと観てるからこそ。
舞台で放心状態だったのも観た、泣いてる時もやけっぱちな時も観た、
ああ、でももうそんなガキっぽかったり不安定だったりなところは見せなくなったのだなあ。
でもこの線の細い不器用な「座長」は必死、必死、
踊って、演じて、歌わせて、握手回って、踊って、歌って踊らせて…
きっとノリがよく&歌いやすいからの吉幾三の『女の数え歌』だ、
イントロで吹き出してしまった、のに、泣きそうになった、笑った。
座員に横で踊らせて、けど歌の最後は二人でキメ、そのちゃんと「キメ」なところが切なくてまた笑ってしまう。
その後太鼓も叩き、ラストで花魁も披露してきた、飄々と飄々と超・必死だった。

だから、グッときた、その手に触れて。

一番後ろの客席の真ん中に座っていた。
そんな私に後ろの通路からひょいと手を伸ばすのではなくぐるりと回って
他のお客さんに当たらないよう気遣いながらぐっと差し伸べてくれた。
泣きそうになった。
ラストショー後、つるり飄々と「今日も一生懸命頑張りましたー」。
ああ、毎日言っているんだろうなあ、本心なんだろうなあ。
笑ってしまった。
しんどいけど、あーしんどいけど、舞台(じんせい)って素敵、生きるって必死、生きてるって楽しいおもしろい。
飄々と必死な白い手を想いを込めて握り返した。
「明日も生きよう、がんばろう」
彼ら旅役者たちは今日も舞台で人生を教えてくれる。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
きっと、今月、私がビックリするくらい行けていない劇場ですね。
そちらに行っていたら、お会い出来たのかもとか思うと、少し残念です。

今日から、ずっとゲスト来るから(あっちは行かんでも大丈夫やから)
だから、こっちに来たのよって、柱のある劇場に仕事帰りに行っていました(開演時間が1時間違うので、仕事帰りに行っても間に合うっていうのも大きいですが )

案の定、お客さんが少なくて、
それでも、最前列で舞台だけを観れば、満員の時と変わらなくて、
なんかこう、その姿を観たい、観せたいと思いました。

ずっと観たいと思うので、今年は緩やかに劇場に行こうと思います。
是非、今年は劇場でお会いしましょう!!
かずら
2017/01/11 11:28
かずらさん。
かずらさんは本当に優しい方ですね。
そして本当にお芝居と人間がお好きなんですね。
お気持ちよくよくわかります。
だからいつもいつもまだ一度もお会いしたことがないのに、
でもなんだかとても「芯」に似たようなものを感じ
(とはいえ、私はかずらさんの「純」+αに業が深い。だから物書きなのか。笑)
勝手に、遠いのに近しい方のように感じています。
今回のコメントもお気持ちよくよくわかるように感じました。
それでよいと思います、し、一緒に、ずっとずっと長く観てゆきましょう、観てゆきたいですものね。
なので、いろいろ見えてくることもあるかもしれませんが、気にし過ぎず、(もしそうであるならば)悩んだりせず、「ずっと、ずーっと」楽しめるように、楽しんで参りましょう。
そのために、「今」を後悔なく楽しみましょう。
お会いしたら本当にたくさん語ることがありますね。楽しみです。
そしてそして今年はお会いできると思います、確実に。
(というか宜しければいつでも連絡フォームよりメール下さいね。
簡単なことでもあのお芝居≠ノついてでも、どんなことでも)
いつも御読み下さり、感謝です。
桃⇒かずら様
2017/01/11 15:59

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